近づく、と一歩離れる、のメタファ

ちょっと、頭がおかしいと思われるようなことを書きます。


上司から、「目の前のことに近づきすぎだ。一歩離れろ」と
何度か言われてきたんです。


ひとつのことに集中しすぎだ、ほかの事に目を向けろ、
ということだということが、続く言葉とかから分かるのですが、
感覚的にピンとこなかったのです。


この間、ピンとこない理由が分かりました。


電車の中で近くのものをみたり、遠くのものを見たりしている最中にふと気がつきました。


ものを遠くから見ると、そのもの以外のものが自然と目に入って注意を引きます。
このとき、脳のモードが切り替わるような感覚がありました。
ひとつのものを観察するモードから、
離れることによって目に入ったそのほかの
複数のものへの、複数のものの関連に注目するモードに変わる。


なるほど、あの人は常にこういったものの見方をしていて、
それが日常的だから、「離れて見ろ」を繰り返していたのか、
とわかりました。
あの人にとっては(そしておそらく多くの人にとって)、
「離れて見ろ」が「そのほかの物事との関連に目を向けろ」
ということのメタファたりえたのだなぁ、と思いました。


このメタファが自分に通じづらかったことには、
僕自身に理由があります。


僕は昔から、ひとつのことに目を向けると他の事が目に入らなくなる性質です。
性質でもあるし、自分でもそれを助長させてきました。
凡人だから、リソースをひとつのことに集中させないと
まともなことにならない、と思っているからです。


話すときは、話している相手を見る。
歩くときは目的地を見る。
遠くを見るときも、一点だけを見つめている。


こうした考え方、行動の方式が日常的なので、
自然と単視眼的にもなるし、「離れて見ろ」と
いわれてもピンとこなくなるのでしょう。


人間ひとりひとり、違う人生をもっているから、
こういったある人にこの言い方は通じないとか、
誤解されるといったことはゴマンとあるのかもしれません。


うーん、絶望的、かつ面白いですね。